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2007年1月

 
  ●1月20日(土)〜27日(土)      
 

       プラス
横山知加子の のカタチ(陶) 

     
 

小春日和の休日、行き先も決めずバスに乗って出かけてみよう。いつもの街のいつもの景色がちょっぴりはずんで見えてくるだろう。肩の辺りがほっとして、心も少し軽くなるだろう。横山さんの作品を見ていると、そんな光景が浮かんでくるようだ。何気ない色、素朴なカタチ、単純な線で描かれた雲、窓、家、木、イヌ・・・。どれも入念に選ばれているのに、余分な力が抜けて軽やかなのだ。楽しんで使ってほしいなという作家の気持ちとともにそっと差し出されている。笠間で創作を続けながら、伝統に縛られずに若々しい感性で作り出す横山さんの器には、日常をほんの少し楽しくさせる不思議がひそんでいるのかもしれない。(立原昭子記)

  yokoyama
2007年2月

 
  ●2月3日(土)〜10日(土)      
  細川 進 フレスコ画小品展      
 

ここ数年、テンペラ画、フレスコ画によって制作を続けている細川がフレスコ画の小品を発表する。描画まで下地作りに多くの過程を必要としながらも描画できる時間が限定されるフレスコ画は、短い時間に一気に描き上げる必要がある。それは、描く者の内面に蓄積された時間が表出する瞬間であり、また描かれる対象の内に永い年月を経て凝縮された時間が切り取られ表現される瞬間でもある。僅かの筆のためらいも許さないフレスコ画の技法が生み出す時間の集約を、見る人が、その一瞬の時を共有し静寂を感じて下されば望外の喜びという。静物画を中心に小品約20点を展示する。

  hosokawa
  ●2月17日(土)〜24日(土)      
  山田ちほ 井土明子 二人展
― tandem 2007 ―
     
 

染付を中心に制作している井土さんの陶器の作品からは描くことを心から楽しんでいる様子が窺える。和洋にとらわれることなく描かれた絵、模様は不思議な魅力を放っている。伝統から束縛を受けることなく無心に描いている所以であろう。
一方、自然が造り出す色の美しさ、形の面白さに少しでも近づきたいと願い制作する山田さんの作品は、謙虚で楚々として陶器も磁器も美しい。シンプルに、ストイックに形作られた器たち。
二人の器に共通するのは使い手に心の負担をかけない優しさかもしれない。

  iduyama
2007年3月

 
  ●3月3日(土)〜10日(土)      
  菅原利彦 うるし展
― いろ・色な器たち ―
     
 

最近、うるしの若手作家が活発に作品を発表し、他の素材とのコラボレーションにも意欲的に取り組んでいる。自然環境や人の暮らしのあり方に関心を持つ作り手と使い手が、うるしの長所に注目し始めた所以であろう。天然素材であり、酸にもアルカリにも強く表面硬度が高い。塗り肌も美しく手触りも気持がよい。こんな漆を、若い人たちの暮らしにマッチする魅力あるものにしたいと、菅原さんは様々な試みを重ねてきた。今回は特に「いろ」に注目。伝統の色に加えてパステル調とも言えるブルー、ピンク、グリーンなどが、透明に或いはマットに塗られた器は、見るものに新鮮な驚きを与えるに違いない。

  sugawara
  ●3月17日(土)〜24日(土)      
  稲垣明子 展(陶)      
 

柔らかな白に、線描きの黒。グレートーン・シリーズは、磁器土のもつ美しさと、きめ細かさを十分に生かしたデザインであるが、大げさにならず日々の暮らしに馴染むシンプルな形に仕上げられている。
また、同じ磁器でも結晶釉を施した器のシリーズは、釉に溶かし込まれた赤、青、緑の顔料がほのかに重なり合い独特な柔らかい肌合いの白を作り出している。
稲垣さんの作品はどのシリーズも、陶土、磁土の特徴が十二分に生かされ、洗練されたデザインで「都会派」と分類したい誘惑にかられる。

  inagaki
2007年4月

 
  ●4月7日(土)〜14日(土)      
  金井 啓 陶展 ―ぬくもる うつわ―    
 

初めて金井さんの器たちに出会った時に二つの光景が頭に浮かんできた。
緑豊かな田園で暮らす一組の夫婦。農作業を終え分厚い木のテーブルに体を預けくつろいでいる。都会に出ている娘のことが話題だ。テーブルにはたっぷりお茶の入ったポット。
一方、小さなマンションの一室に暮らす娘は会社から帰ると先ずお茶にする。デスク兼用のテーブルにはパソコンと両親の写真。今日こそは両親にメールを送ろう。
きっとどちらのシーンのテーブルにも金井さんの器は似合うに違いない。田舎にも都会にも、親達にも若者たちにも、素朴でぬくもりのある器は使い手に優しく寄り添ってくれる筈である。

  kanai
  ●4月21日(土)〜28日(土)      
 

坂井直樹 金工展

   
 

「もっと金属を身近に」が坂井直樹さんのテーマである。その作品はオブジェから気軽に飾れるものまでと幅広い。重い、固い、冷たいイメージのある金属が、坂井さんの手にかかると、すっきりとして純粋、素朴で愛らしいものに変化する。その発想の源は日々のスケッチやノートの片隅の落書き(ご本人の弁)だという。ふとした思いつきを手探りで手のひらによって形にするのだと。「手探り、手のひら」という言葉から、丁寧に慈しむように作品に命を吹き込んでいく作家の姿勢が伝わってくるようだ。“かなものスケッチ”と題されたシリーズは植物や動物をイメージさせる、実に楽しい作品となっている。日常の中に置いたら、生活を豊かにしてくれること請け合いだ。(立原昭子記)

  sakaisakai_2
2007年5月

 
  ●5月5日(土)〜12日(土)      
  市岡 泰 陶展 陶の風景    
 

市岡泰さんの器は、静謐でありながら軽やかな風情で空間に存在している。すぐれたデザインと豊かな質感の所以だ。市岡さんは自然や人の手によって変化していくものに心ひかれるという。時の経過がもたらす「質感」が美しいのだと。古着のGパン、錆びた鉄、雨ざらしの木材、さらには、山を吹く風、出会いと別れ・・・。それらに出会った時に感じる「なにか」を器に宿すことが目標の一つだと言う。そんな思いを具現した形に掛けられた白化粧や淡い色彩、その下にのぞく陶土の色合い等々が多様な表情を形成し、器に秘められた物語を静かに語りかけてくるようだ。架空のものなのにどこか懐かしい物語を。今回、2007年度日本陶芸展入選のものと同様のボールも出品される。(立原昭子記)

  ichioka
  ●5月19日(土)〜26日(土)      
  名雪園代 漆展    
 

初めて出会った名雪さんの作品の中で印象に残っているのは樹の皮に漆をかけた作品である。時満ちて幹からはがれ落ちた皮が「何かに役立てて下さい」と呼びかけているように感じたという。自然の中で美しいモノを発見したり、語りかけてくるようなモノに出会ったりすると、そのモノたちに寄り添い、仲間に入れてもらいたい気持になるともいう。彼女の作品には大仰にあるいは居丈高に自分を主張するようなところは微塵も無い。優しく自然な姿をしている。自分の造り出すものは果たして創造といえるのだろうか、何かに依存して助けられて作っているだけではないだろうかと常に自問し続ける謙虚な作家だが、自然と共生するという形で、独自の作品世界を造り出していることは間違いない。

  nayuki
2007年6月

 
  ●6月2日(土)〜9日(土)      
  西山芳浩 ガラス展    
 

吹きガラスの技法で制作している西山さんの作品からは、その技術水準の高さが窺われる。ガラスの持つ特性を十分に理解した上で、偶然性に頼ることなく確実に、シンプルで美しい形を創り出している作家である。若々しい感性から生み出されたクリアで寡黙な器たちは暮らしの中にすんなりと溶け込み、しかも使う程に存在感を増してくる不思議なものである。今回の個展では食器、花器など、透明なガラス・黒いガラスを素材とした「使える」器を中心に発表する。

  nishiyama
  ●6月23日(土)〜27日(水)  
  和田浩一 花 展 12の心象風景    
 

solitude standing/
人はいったいいつから独りなのだろう?
そうあるべきなのかそうならざるをえないのか?
それともはたしてそうではない世界もあるのか?
悲しみを感じるのはそうではないと思えた瞬間があったからこそなのか?

solitude standing/
都会の喧騒の片隅ひび割れたコンクリートから咲く名もない花
凛としたその姿に何を重ねてみることができるだろう
やがて尽きゆく命あるものたちは
それぞれの営みから今日もまた何を生みだしているのだろう

(和田さんからのメッセージ)

 

wada
天使と悪魔

2007年7月

 
  ●7月7日(土)〜14日(土)    

 

  高野浩子 彫刻展 ―古い本の物語り      
 

想う人−記憶の中へ−(写真の作品)について作者高野さんは語っている。

女の人が瞳を閉じています。そして、その手の下には、大きな本が置かれています。(中略)この女の人は、「本の中の世界」の続きにある、「心の中の世界」に想いを馳せています。心の中の世界では、過去も、未来も、同時に存在しています。無限の広がりを持つこの中では、対極に位置するとされているものでさえも混ざり合い、無限に広がって行きます。この女の人は、心の中の世界を守る、女神なのです。心の中へ。そして、記憶の中へ。

今回の個展ではこれまでの、美しくも深くもの「想う人」シリーズ
http://www.art-kouba.com/kono/)にどのような女神が加わるのか。その登場を共に息を潜め静かにお待ちいただきたいと思う。

  kono
  ●7月21日(土)〜28日(土)      
  清野 学 陶展 ―粉引の器      
 

たまたま清野さんの個展会場を通りがかったのが最初の出会いだった。整然と並ぶ作品群の端正な佇まい、その周りを支配する空気の静けさに思わず息をとめて見入ってしまった。粉引を中心に、貫入、鉄刷毛など質感の異なる白の器はどれもストイックなまでにシンプルに仕上げられている。道具としてのリアリティー(実用性)を失わぬよう、シンプルで衒いのない器を作りたいという作家だが、その結果だろうか、彼のうつわにはそこはかとない品のよさが感じられる。和洋を問わず豊かな食卓風景を演出するのに役立ってくれる器である。

  seino
2007年9月

 
  ●9月1日(土)〜8日(土)      
  阿部 誠 陶展    

 

阿部さんの作品が一堂に並んだ光景を目にすると思わずワーイ、と叫びたくなる。大らかな形に、伸び伸びとした筆致で描かれた鉄絵が何とも自由で屈託がない。そこに施された灰釉の渋めの緑が絶妙なバランスをとって器としての存在を過不足ないものにしている。碗や杯、鉢に交じって、トラックあり、高層ビルあり、文具あり。食器としても花器としても自在に使えそうなうつわたちだ。「普段使いの器を作ってます」と作家の弁は極めてシンプルだが、彼のうつわを食卓に載せたら普段が普段でなくなりハレの日の楽しい気分が込上げて来るから不思議だ。

  abe
  ●9月15日(土)〜22日(土)      
  檀浦誠二 陶展    
 

越生に新しい工房を構えて地元の梅林からもたらされる間伐材で安定した灰釉作りに成功した檀浦さんは、身の回りの自然の営みからインスピレーションを得て制作するという。まさに自然と共生する陶芸家である。ACCaでの2回目の個展となる今回は味わい深い黒と白を基調に、日々の暮らしに変化と奥行きを与えてくれる花器、皿、鉢、碗などを展示する。

  dan_2nd
2007年10月  

 
  ●10月6日(土)〜13日(土)      
  庄司千晶 展    
 

穏やかな秋の日差しが差し込む窓辺に椅子を寄せて本を読む。時折、紅茶の入った小さなカップに目を移す。柔らかい白の磁器肌にパステルカラーが施された庄司さんの器は清楚で目に優しい。作家の絵筆は季節の移ろいや日々の空模様を映して微妙に色使いを変える。秋のピンクは徐々にローズ色に近づいていき、夕暮れにはグレーが忍び込んでくるというように。掌に載るような小さな器作りが得意な作家でもある。

  shoji
  ●10月20日(土)〜27日(土)      
  山田実穂 展 ―かばの動物園―    
 

かばが好きで、一途にかばを作り続けている山田さんのACCaでの2回目の個展である。おおらかでのびのびしている。ゆったりとした存在感がある。知的、或いは哲学的である、というような、作家が造形の要素として大切だと感じているものが、かばには自然に備わっているという。今回は、作家が園長を務める「かばの動物園」のかばたちが遠路はるばる列をなしてやってくることに。大量の干し草とおからを用意して熱烈歓迎したい。

  miho_2
2007年11月  

 
  ●11月3日(土)〜10日(土)      
  島見美由紀 陶展    
 

庭の草むしりを始めるといつも我を忘れ夢中になって、気がつくとスッキリしているという島見さん。土の感触を足に感じ植物たちの息遣いを肌に感じることで自身も生きていることを実感する。制作に根を詰めて硬くなった体が次第に解きほぐされていく。自然に癒されているということか。そんな命ある土や植物の愛おしい表情を形にする、作品にするのが陶芸家の願いである。

  shimami
  ●11月17日(土)〜24日(土)      
  垣本圭子 木工展 ―ソコニイテ、クリカエス―      
 

初めて垣本さんの個展に行った時作家は不在だった。すっきりした室内にはテーブルとイスが何気なく、いつものように、家人の帰宅を待ち、木製の一輪挿しは今しも庭から手折られて来る花を待ち、棚に並んだ木のボウルやスプーンは夕げの出番を待っているように見えた。作家が日々の暮らしの中で経験した小さな出来事やふと見た光景、聞いた音を、一つ一つの作品が語ってくれているようで、優しく懐かしい空気に充ちていた。折にふれ心の何処かに落とされた種が気がつくと芽生え成長しふくらんでくる。そんな思いを木という素材を通して形にしていくという作家の物作りの姿勢が素直に伝わってくる作品たちである。

  kakimoto
2007年12月  

 
  ●12月1日(土)〜8日(土)      
  山本直紀 陶展      
 

ここ数年、使える器としての機能を残しながらも造形的な美しさを追求してきた山本さんの作品には、両者がもたらす心地よい緊張感が感じられるものが多かった。しかし、ここにきて、従来の緊張感に代って作品に余裕が感じられるようになってきた。作家の心境の変化によるものだろうか。これまでの黒のモノトーンシリーズから、グレー、白も加わったシックな大人の食卓をイメージさせる器へと展開してきている。
ACCa での2回目となる今回の個展では「形と模様のつながり」をテーマに、和洋を問わず使える器を中心に、花器や陶箱も展示の予定である。

  yamamoto_2
  ●12月15日(土)〜22日(土)      
  漆山みさき ガラス展    
 

この春大きな風に乗って“わたね”は太平洋岸から日本海側まで飛んで行った。小さなわたね(watage+tane)にとってそれは初めての大旅行。わたねから便りが届いた。

ーわたねの旅は続くー
わたねは今、旅の途中 /  より道、こみち、まわり道
この街で出会えた新しいイロ / あの街を離れて気付いた大切なモノ
わたねの旅は続いてく / 居場所を見つけるその日まで

新しい制作の場を得て、ガラス作家漆山さんの作品はどんな風に変わってきているのだろう。初めての光、風、水、風土はきっとたくさんのことを彼女に囁きかけているに違いない。期待されるACCa での2回目の個展である。

  urushiyama_22
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