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2006年5月

 
  ●5月5日(金)〜13日(土)    
  檀浦誠二 個展(陶磁)   dan3
  決して無理をせず、自分が置かれた環境や暮らしの中から自然に湧き出てくるイメージをそのまま形にしたいという檀浦さんの制作姿勢は、作品そのものからも十分感じ取れる。主張を抑えた素直なうつわと言ったらよいだろうか。ひとたび使い手に渡ると、今度はその暮らしの中にしっくりと溶け込んでくれる。
黒と白。深く味わいある黒の釉薬を作り出すことは彼の長年のテーマである。更に今、柔らかく暖かい白磁を生み出そうと試みを重ねている。既に定評のある粉引と合わせ、今回の個展では新たな作品との出会いが期待できそうである。
  ●5月19日(金)〜27日(土)    
  山田実穂 個展(彫刻)
―遠くから来たかば―
  hippo3
  かば、そのユーモラスな表情と大らかな存在感に魅せられた山田実穂さんは、大学院時代からひたすら陶でかばを作り続けている。あたかもその存在を両腕でしっかと受け止め、自分を同化させていくかのように。
彼女は時にはかば動物園のリーダーになり一緒に遊び、一緒に旅をする。また時にはかばの辿って来た途に思いを馳せる。
今回、古い遺跡とかばとの組合わせを発表する。昔からの、人間が造ってきたものとそれを遠目に眺めて来たかばとの距離感を表現したいと。
2006年6月

 
  ●6月2日(金)〜10日(土)      
  望月薫 個展(陶)     kaoru
  望月さんがこれまで公募展などで発表してきた黒陶の作品は、一方で器としての機能を持ちながらも、極めて造形的な立体でありオブジェとして辺りの空間を静かに律する重厚なものである。その彼が食器を制作する際は、器に主張をさせようという思いはなく、奇を衒わず、土と対話しながら丁寧に気の行き届いた仕事をしたいという。しかしでき上がった食器を見ると、そのたたずまいから自ずと造形的な美しさが感じられオブジェとして鑑賞したい気持ちになる。料理を盛りつける時には、彼の造形プロセスの仕上げに自分も参加するような心地よい緊張感を覚えるかもしれない。今回は黒陶に加えマットな白釉とグリーン釉の器も出品される。
  ●6月16日(金)〜24日(土)      
  陶磁二人展 ―川口江里・稲葉浩之―  
kawaina
 
川口江里さん(陶器)と稲葉浩之さん(磁器)の作品は人の手の温もりを感じさせる表情豊かなものである。どことなく尖っていたり、ユーモラスだったり、ささやいていたりする。「普段気軽に使ってもらえるもの。いつもの食卓が少し楽しくなるもの。長く使ってもらえ飽きのこないもの」そんな器を作ることを心掛けているという。食卓の器に加え、今回は花入れや灯りも登場する。暮らしをさりげなく明るくしてくれる作品に違いない。
2006年7月

 
  ●7月7日(金)〜15日(土)      
 

漆山みさき 個展(ガラス)
―時のカケラを紡ぐ―

     
  海の近く、光あふれる工房で制作しているガラス作家漆山さん。日々の暮らしから、また身近な自然の営みから、心に残った印象をスケッチしているという。目に見えるものはもちろん、林を渡る風の音、時折鼻をくすぐる潮の香り、何も見えない暗闇。そのスケッチが彼女の作品のインスピレーションとなり、新しい命を生み出す。作品は日誌。月からの授かり物?と思うような不思議な色の光、海のブルー、畑のみどり、花のピンク、街のグレー、ブランクではない白。様々な色で自由にのびやかに描かれる心象風景。器にオブジェに。   misaki
  ●7月21日(金)〜29日(土)      
  小泉かほり 個展(陶磁)      
  小泉さんの作品のラインは優しく伸びやかだ。そこに彫られた自然のモチーフから溢れ出す明かりは木漏れ日のように心地よい。身構えずに、しかしすっくとそこに存在する青白磁の器は、草の上を渡る風に吹かれているような清々しささえ感じさせる。「まだまだ未熟で、きっぱりこうだ!と言い切れるものはないのですが、理想としては『のびやかで大らかな、ちょっと力の抜けた、自然と手にとってしまうようなもの』を創っていきたいと思っています」という控えめな作家の言葉も爽やかに響く。(立原昭子記)   kahori
2006年9月

 
  ●9月1日(金)〜9日(土)      
  南 時俊 展 ―記憶の地―(鋳金)      
  手でその感触を確かめたくなるような吸引力を持つ表現を目指したいと、南さんは言う。「存在イコール手で触る」という子供時代の感覚は、実は人間の根源的な実感の仕方なのだからと。南さんの創作の源にあるのは、蓄積された経験や記憶と作用し合いながら心の内に形成されていく「景色」だ。一瞬に切り取られたものではなく、感情のようにゆるやかに連続する「景色」。通常より厚みを持たせ、あえて複雑な造形や飾りを排した作品は、どっしりと重い存在感を放つ。鋳型の表面を削ったり線を入れたりする技法から生ずる、わずかな歪み・継ぎ線・色の変化などが、素材の持つ美しさをより感じさせる。作家固有の「景色」から生まれた空間が、見る人にも其々の内なる風景を思い起こすきっかけになれたらと南さんは願う。(立原昭子記)   nan
  ●9月15日(金)〜23日(土)      
  山田浩之 個展(陶磁)      
  山田さんの作品は大胆にして繊細だ。絞り込んだ足元からぐっと張り出すどっしりした胴体。もぎ取ったようなごつごつした断面とトロッと釉薬が掛かった滑らかさ。そこに小さく穿った矩形に施された清涼感のある色は、さらに奥の方へと見る側の思いを導く。焼き締めは重量感たっぷりでいて、自然から切り出したばかりのように瑞々しい。家の形をした黒彩の重箱には、納屋の大屋根の蓋を取ると家畜たちの寝息が聞こえてきそうな安らぎがあり、酒器や急須はスマートで上品ながら、とぼけた楽しさも感じさせる。作風はどんどん変化していく。もちろん日々の研鑽と挑戦の結果だ。最近は銀彩にも取り組んでいるときく。「ものを楽しんで使うということは、その物にいつも新しい発見があることがそのヒントになると思います。それは食器に限らず、花器、文房具、置物などすべての物に言えることだと思います。いつも使ってくださるひとに新しい発見があるように、深みのある物作りを心掛けています。」と、山田さんは語る。(立原昭子記)   hiro
2006年10月

 
  ●10月6日(金)〜14日(土)      
  望月 勤 展 ― Frameworks 009 ―(木工)      
  さまざまな暮らしのシチュエーションや条件の中で、求められたかたち、例えば棚であったり椅子であったり、のイメージをまとめあげていく木工の仕事は、かたちの創作であると同時に「ひと」と「もの」と「空間」との関係を整えていく作業であると望月さんはいう。温もりをもつ木という素材を機能的に構成し空間に無理なく収めることで、その空間は味わい深いものに変わっていく。作り手自身がそのプロセスを楽しみながら制作していけば自ずと使い手にもその心の持ちようが伝わり整えられた空間を楽しむことができるということである。
個展会場では、木工作品が本来収まる場所とは異なったスペースに置かれることになるが、作家が素材をいかに丁寧に扱い特性を生かそうとしているかは十分に理解される筈である。
  tsutomu
  ●10月20日(金)〜28日(土)      
  山本直紀 個展(陶磁)      
  志野の技法をベースに、複雑な幾何学形の構成で組み上げられた山本さんの作品の前に立つと必ず「どうやって作ったのだろう」という疑問が沸いてきて暫し想像力を巡らすことになる。作家自身、「制作中には線と面で構成された形のおもしろさというものを常に頭の中に意識している」と語る。その線が三次元の世界で稜線となり光と陰の面を効果的に演出し全体の形のおもしろさを鮮明にする。中には使い勝手よりも造形効果を優先させた作品もあるが、しかし基本的には器としての機能は必ず残していきたいというのが彼の制作姿勢である。
今回の個展では最近始めたモノトーンのシリーズを中心に展示する。意欲的な作品が期待される。
  yamamoto
2006年11月

 
  ●11月3日(金)〜11日(土)      
  園部正樹 陶展      
  “はれ”の日は別として、普段の暮らしでは季節や天候に応じて食卓の器を吟味するというような事は少ないと思う。料理を盛りつける直前にその料理の映りのよい食器を何気なく選んでいるし、お気入りの器も自然に決まってきているようだ。気がついてみると、そうした器がいつの間にか収納棚の前の方の取り出しやすい場所に並んでいる。
園部さんの粉引の器はその前列組の主要メンバーである。以前個展で頂いて以来長年その座を占めている。彼が制作の際自分の器にイメージしているのは“普段使いのあきのこないもの、頻繁に使われ料理を引き立てるもの”だというが、まさにそのイメージは具体化され、奇を衒わず穏やかな表情の器になっている。料理を美しく、おいしく見せ、そして気軽に使えるという日常食器の在り方を思い出させてくれる。
  sonobe
  ●11月17日(金)〜25日(土)      
  メタルアートファクトリー 魚々子(ななこ)
 ―手仕事のぬくもりを伝えて―
     
  「金属は冷たい、という印象がありますが、形にするという手仕事を通して、それぞれの素材が生き生きとその魅力を放ち始めます。手に取ると不思議と暖かみや柔らかさをも語りかけてくれます。魚々子の作家が創る作品たちの息遣いを感じていただけましたら幸いです。」(魚々子からのメッセージ)札幌在住の作家を中心に、北海道内外の作家も加わって構成されているメタルアートファクトリー魚々子。今回の作品展では金属という素材がさまざまな形で見るものに新鮮な驚きや発見をもたらしてくれるに違いない。   nanako
2006年12月

 
  ●12月1日(金)〜9日(土)      
  大原功樹 陶展      
  魚や野の花など自然のものをモチーフに絵付けをしている大原さんの作品からは、作家が常に周囲の自然に、多分人間にも、優しい眼差しを注いでいることが感じられる。
学生時代に何度も旅した奄美や沖縄での体験がモチーフに現れているのかもしれないというが、豊かな南の海や大らかな島人の暮らしから得たものはそれに止まらなかっただろうことは容易にみてとれる。
主に「布染め」という技法で描かれている魚、蟹、海老たちは妙に生真面目であったり、時にユーモラスであったり表情は様々であるが決して節度を失うことなく品位が保たれている。勢いのある「掻き落とし」技法で描かれた草花は爽やかな野の風を送ってくれて見るものをホッとさせる。
  ohara
  ●12月15日(金)〜23日(土)      
  尾形かなみ 個展 ―記憶の標本―(ガラス)      
 

尾形さんのボトルの作品に出会うといつの間にか身をかがめ中の景色に引き込まれている自分に気付く。クリアなボトルの中には針金やメタルでできているイスやベッドがずっと昔からそこに置かれているかのように無口にたたずむ。かと思うとブルーのボトルの中の時計の針は今にも動き出しそうだし、カレンダーは「早くめくって」と叫んでいる。グリーンのボトルには読みかけの英字新聞。記事はいつのものだろう。
このシリーズに限らず一連の作品のテーマを尾形さんはこう表現する。

ガラスの中に/凍りついたような一瞬を閉じ込めたい/現実には/時は流れ、物事は変化していく/だからこそ/
時を止めたようなガラスの中の空間に/永遠を探し求めている

  ogata
entra